鎌倉市職員労働組合

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不法占拠ではありません

2015年11月7日

組合事務所の移転について、2015年10月29日深夜に及ぶ交渉で、まだ時間があるにもかかわらず、当局は一方的に交渉を打ち切りました。これにより、組合事務所として現在使用しているプレハブ建物の使用期限が10月末で切れました。11月1日以降の使用許可の申請をしましたが、許可されませんでした。

県の労働委員会の措置勧告を無視した当局の動きは、不当労働行為に該当すると言えます。これに対して組合事務所を保全するため、11月1日から昼夜問わず役員常駐体制で使用を続けています。

組合としては、現在使用している建物に固執している訳ではありません。現組合事務所の跡地に計画されている子どもの家の移転や、旧図書館の保全、庁舎再編計画に異を唱えてもいません。ただ、本庁敷地内に代替場所の提示がなく、動くに動けない状態です。

本庁敷地内に代替となる事務所が提示され次第、早期に移転して、円滑な庁舎再編に協力したいと考えております。

現在の組合事務所の状態について、10月30日の市議会本会議では、「不法占拠」という主張が聞かれましたが、決してそのようなことはありません。法的な位置づけについて、弁護士の見解は以下のとおりです。

 

「組合事務所使用不許可処分は憲法28条・労働組合法7条に反し無効」

 

神奈川自治労連弁護団から

横浜法律事務所  弁護士 井上 啓

 

鎌倉市は、組合に対し、平成27年10月30日付けで組合事務所の使用を許可しない旨の処分を通知してきたが、これは、憲法28条・労働組合法7条に反する違憲・違法な処分であって無効である。当該処分が違憲・違法なものであり無効である以上、11月1日以降の組合事務所の使用もなんら「不法占拠」ではない。

憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」として、組合の団結権を保障し、これを受けて労働組合法は、1条2項本文において「刑法第35条の規定(「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」)は、労働組合の団体交渉その他の行為であって前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする」と規定し(いわゆる「刑事責任の免責」)、さらに、8条において「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故をもって、労働組合又はその組合員に対し賠償の請求をすることができない」と規定している(いわゆる「民事責任の免責」)。

さらに、今回は、神奈川県労働委員会が「実効確保の措置勧告」を出し、市役所敷地内での組合事務所の確保につき労使で協議を尽くすよう勧告しているのであり、これを無視した今回の組合事務所使用不許可処分は労働組合法7条の「不当労働行為」に該当し、労働組合法上も違法な処分である。つまり、すでに神奈川県労働委員会に平成27年(不)第3号事件・同9号事件が係属している最中に、組合事務所を明け渡し・移転を強行する

ことは、当該事件の審理のための打合せや準備を妨害することが明らかであり、組合活動の拠点に対する攻撃であり個々の組合員を動揺させその団結を侵害する露骨な「支配介入」として、労働組合法7条3号に該当する「不当労働行為」となる。さらに、使用者が裁判所の明渡しを命じる仮処分決定などの法的措置を取らずに、組合事務所を奪還するなど、いわゆる「自力救済」してしまった場合、組合は占有権に基づき「妨害排除請求」すらできるのである(東京高裁・昭和54年9月20日決定)。

なお、市の管財課は、顧問弁護士に組合事務所の明渡しにつき意見照会しているが、当該弁護士は、これまで長年にわたり使用を許可してきた場合には、「不当労働行為」に該当する可能性がある旨、組合側の主張に沿った回答をしているのである。

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